【相談者】
一人親方さん(45歳・男性)
【相談内容】
私は建設業の自営業をしています。
下請けの仕事がない時期が続いてしまい、借金をするようになったのですが、さらにそこにケガが重なり借金が大きくなってしまいました。
実は一度司法書士に依頼をしたのですが、私は任意整理で支払っていくと言っているのに、要望を聞いてもらえず、自己破産をするという一点張りです。
作らなければならない書類や集めるべき書類を支持されて妻が絶句して元気がなくなってしまい、離婚するとも言われています。
持前の気力・体力でなんとか支払っていきたいのですが、なんとか任意整理にならないものなのでしょうか?
【回答】
36回~60回(3年~5年)で払える額でない限りは自己破産が原則になりますし、そこまで無理が必要な任意整理が続くはずがないので、一時的には苦しくても自己破産が良いといえるでしょう。
【解説】
1.債務整理の手続きは借金の総額と支払うことができる額の関係で決定する
債務整理というは手続きの総称で、自己破産・個人再生・任意整理の主に3つの手続きのどれかを利用して借金の免除や圧縮をはかっていくものです。
手続きは、借金がいくらあれば自己破産、というようなきっちり決められたものではなく、借金などの債務の総額と、支払いができる金額との関係がどのようになっているかで決定します。
ようは、任意整理は支払うことができる状態でなければ利用できないので、支払いができないと判断できる場合には自己破産を原則に、例外的に個人再生を利用するという判断方法をします。
2.任意整理では支払いができないというのは、36回~60回以内に支払うことができない場合をいう
では「任意整理」では払えない、というのはどうやって判断するのでしょうか。
この任意整理ですが、債務整理の業界の常識として、任意整理は原則36回(3年)の分割、例外的に60回(5年)の分割を上限として応じることになっています。
いくら債務者に支払う気概があったとしても、これ以上の分割をするのは貸金業者としても債権の管理などのコストがかかるので応じないことになっています。
つまり、さっさと自己破産をしてもらって、バランスシートから外したい…ということになります。
3.無理して払っていってもすぐに頓挫する
それでもなんとか無理して支払っていく!といった方がどうなるか…。
3年と考えると、身内の冠婚葬祭・病気怪我・子供の進学などで一過的にお金が必要なたびに金欠になります。
そして2回以上支払いが延滞すると、一括請求されることになり、あらためて弁護士に依頼して自己破産することになってしまうのです。
相談者様の奥様のように、書類作成については見るだけでも嫌だ…という方もいらっしゃるかもしれませんが、根性を書類作成に向けたほうがよい結果が得られるといえます。